舌下免疫療法

2020年9月7日

アレルギー性鼻炎の治療は内服薬や点鼻薬などの薬物対症療法が主体です。その他には鼻づまりが強く鼻の形の異常を伴う場合や、重症のアレルギー性鼻炎で薬物療法では十分な効果が得られない場合は手術療法が選択される場合もあります。

アレルゲン免疫療法の歴史は古く、原因となるアレルゲン(ダニやスギなど)を投与することで、アレルゲン暴露によって出現する症状を和らげていく治療です。アレルゲン免疫療法には皮下免疫療法と舌下免疫療法があります。皮下免疫療法はまれではありますが強い全身副反応を認めることがあります。また注射による痛みや頻回の通院も問題になります。より安全性の高い舌下免疫療法がおこなわれるようになりその有効性が示されてきています。一般的な薬物療法であまり効果が得られない患者さん、薬の減量を望む患者さん、薬の副作用(眠気など)がある患者さんなどが適応になります。また5歳以上の小児への適応も拡大されより多くの患者への治療が行われてきています。治療は長期に渡り3~5年の治療継続が望まれます。およそ8割の患者さんにはに効果は認めますが、十分な効果を認めない場合もあります。それも理解して治療を開始する必要があります。治療開始から1年程度でも治療効果は期待できますが、治療開始から2年以上経過することでより高い治療効果が期待できます。3年以上の治療により、治療を中止した後も治療効果の持続が期待できます。

副反応の多くは薬を置いた口の中の腫れやかゆみです。アナフィラキシーなどの副反応をきたす可能性もあり注意が必要です。喘息がある場合は十分にコントロールされている必要があります。

新型コロナウイルス第二波がやや落ち着いてきたと思われます。免疫療法に興味のる患者さんや、治療希望のある患者さんはご相談ください。ダニは年中開始可能ですがスギ花粉飛散中にスギ免疫療法は開始しません。花粉飛散が落ち着く6月ごろから遅くとも12月前半までには治療開始が望まれます。