2020年10月

小児の舌下免疫療法について

2020年10月19日

アレルゲン免疫療法の歴史古く、皮下免疫療法は海外では1910年代から、我が国では1960年代から治療がおこなわれています。舌下免疫療法に関しては日本では2014年に液体によるスギ舌下免疫療法が、2015年には錠剤であるダニ舌下免疫療法が保険適応になりました。2018年にはスギも錠剤が発売され、現在は液体から開始した患者さんも錠剤への移行をおこなっています。(錠剤への移行が完了した患者さんがほとんどかと思います)

当初は12歳以上が適応でしたが、2018年に年齢制限がなくなり小児の適応範囲が広がっています。年齢下限の設定はされていませんが5歳以上が推奨されています。1)口の中に薬を正しく保持できるか、2)副反応の症状を適切に訴えられるか、3)投薬後の運動を控えることができるかなどが理由に挙げられます。

一番気になるのはやはり有効性だと思います。フランスでの5~17歳(総数736人)でのダニ舌下免疫療法の検討では、治療の尊守率(薬をしっかり使用しているか)が86.5%、効果を83.8%に確認でき、満足度は85.3%に認めたとの結果でした。成人(総数551人)と比較して同様であったとの報告があります。スギ舌下免疫療法も成人同様に有効であったとの報告があります。

小児期舌下免疫療法を開始する利点は、1)長期に渡るアレルギー性炎症による鼻粘膜組織が不可逆的な変化を防ぐことが期待されます。2)アレルギー性鼻炎の小児はしばしば喘息を合併し、鼻炎が重症であるほど喘息のコントロールが悪いとの報告があります。鼻症状の改善は喘息へのよい影響が期待されます。3)小児期のアレルギー性鼻炎は喘息発症の危険因子です。喘息発症の予防的効果も期待されています。

副反応も両親にとって気になることかと思います。ダニ、スギ共に大人と同じ量、同じスケジュールで治療をしていきます。副反応の多くは口の中の違和感、掻痒感(かゆみ)や腫脹など局所反応がほとんどです。ただし低年齢であるほどアナフィラキシーなどの症状を適切に訴えることが難しい場合もあり十分な注意が必要になります。

舌下免疫療法は長期に渡る治療のため、治療を継続するために低年齢であるほど家族の協力が不可欠です。年齢が上がってくると薬は患者の自己管理になることが多いためしっかり薬を服用できているか、服用後に運動をしてしまわないかなどの注意も必要になります。

外来にてご相談ください。

 

メニエール病

2020年10月3日

良性発作性頭位めまい症は耳石が関与するめまいとしてご存じの方も多いと思います。めまい疾患の中で最も頻度が高いと言われいます。

今回は、良性発作性頭位めまい症ではなくメニエール病について書いてみます。メニエール病はめまい発作を繰り返し、めまい発作に伴い聴覚症状(難聴、耳鳴、耳閉感など)が出現します。めまいの初期はめまい発作が改善すると聴覚症状も改善しますが、めまい発作を繰り返している間に難聴が改善しなくなります。めまい発作の持続時間は10分程度から数時間程度です。数秒から数十秒程度の短いめまいや1日以上続くめまいはメニエール病とは考えにくいと思われます。

メニエール病非定形例と呼ばれる病態があります。蝸牛型と前庭型があります。

蝸牛型は、難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状を反復しますが、めまい発作を伴わない病態です。メニエール病への移行(めまいを伴うようになる)は約20%と報告されています。

前庭型は、メニエール病のようなめまい発作(誘因なく、10分程度から数時間程度のめまい)を反復し、聴覚症状(難聴、耳鳴、耳閉感など)を伴わない病態です。メニエール病への移行(聴覚症状を伴うようになる)は約15%と報告されています。

メニエール病は、脳梗塞や脳出血などの中枢性めまい(頭のめまい)のように生命に関与するめまいではありませんが、めまい発作が頻回の場合は日常生活への影響も大きくなります。

メニエール病の治療は薬物療法だけでなく生活指導が大切になります。生活指導には過労、睡眠不足、ストレスを避け、ウオーキングなどの有酸素運動も有効です。これらの治療法でめまい発作が抑えられ場合が多いのですが一部にはめまいが改善しない場合もあり、中耳加圧療法などの新しい治療法もでてきています。

メニエール病や良性発作性頭位めまい症以外にも様々なめまい疾患があります。最近では前庭性片頭痛や持続性知覚性姿勢誘発性めまいと呼ばれるめまい疾患もあります。

メニエール病に関しては疫学や生活指導について、その他のめまい疾患についてもブログ更新していきたいと思います。