ヒトパピローマウイルス(HPV)感染とHPV関連中咽頭がん

2023年3月21日

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染と子宮頸がん発症との関連性はHPVワクチンの定期予防接種からもご存じの方も多いかと思います。日本においてHPVワクチンは2013年4月から定期接種の対象になりましたが、慢性疼痛や運動障害などの副反応の問題で積極的な接種勧奨が差し控えられました。約9年後の2022年4月より積極的な接種勧奨が再開されています。

耳鼻咽喉科領域のがんは頭頸部がんと呼ばれます。聞きなれない方も多いと思いますが、我が国では毎年5万例近くの頭頸部がんが発生しています。扁桃腺や舌根部は中咽頭に含まれ、そこから発生するがんを中咽頭がんと呼びます。

中咽頭がんは主に、飲酒や喫煙との関連性が深い古典的ながんとHPV関連中咽頭がんがあります。HPV関連中咽頭がんは名のとおりヒトパピローマウイルス(HPV)感染と関連性の深いがんです。急増しているHPV関連中咽頭がんは男性に多いがんです。HPVワクチン接種により中咽頭がんが減少したという明確なエビデンスは現時点ではないようですが、HPVワクチン接種による予防が期待されます。

日本では女子のHPVワクチン定期接種対象者の接種増加が急務ですが、欧米先進国では男子も定期予防接種の対象となってきています。日本でも男子への定期予防接種化にむけての動きもあるようです。

HPVワクチンの定期予防接種対象者で接種をためらっている方は接種に関してもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

3月13日からマスク着用の考え方の見直しもおこなわれています。3月に入りスギ花粉は大量に飛散しています。スギ花粉の飛散は減少し始めていますがヒノキ花粉が飛散してきています。花粉症患者の方はもうしばらくマスク着用を続けてください。