学童の声帯結節

2021年8月10日

学童の1~2割に嗄声(声がれ)を認め、その半数以上は声帯結節を認めると言われています。声帯結節とは、左右の声帯が最も擦れ合う場所に腫瘤ができます。声帯結節の病態は音声酷使によって声帯粘膜の損傷をきっかけに隆起性の炎症性病変が生じます。学童、教師、保育士などで多くみられます。身近な職業とは言えませんが歌手も多いとも言われています。

学童においては男児に多く、発症時期は3歳ごろから急増し、小学校低学年がピークで、11~13歳ごろから急激に減少していきます。

学童の声帯結節は成長過程で軽快することも多く、年に1~2回の診察でよいと思われます。

経過観察で、1割弱の患児は結節が不変であり、音声治療をおこなっても、患児の2割は思春期以降も音声障害が残存し、音声障害が残った患児は、男児と比較して有意に女児が多いとの報告があります。

自然軽快が多い疾患ですが、音声障害が残存することもあり、慎重な経過観察が必要とされています。

声やことばの大切さ

2021年7月18日

心の中の考え(思考、意思)を互いに伝え合うことを“コミュニケーション”と呼びます。コミュニケーションの方法として、ことば、身振り、表情、手紙、画像などがありますが、ことばが最も効率よく、複雑な内容も伝えることが可能な手段になります。

会話は、①話し手の脳による言語メッセージを、②発話機能により声とことばを発し、③これを聞き手の聴覚系(きこえ)が受容し、④聞き手の脳により言語メッセージを解読する、これらの流れは“スピーチチェーン”と呼ばれ、このスピーチチェーンのどの部分が障害されても生活に大きな支障が生じます。

声やことばはコミュニケーションをとるための大切な手段になります。耳や鼻疾患のブログが多かったですが、咽喉頭疾患、声やことばなどについてもブログを書いていきたいと思います。(ブログをあまりアップできなくてごめんなさい)

 

スギ、ダニの舌下免疫療法の開始時期について

2021年6月6日

アレルギー性鼻炎の主なアレルゲン(アレルギー反応を来す原因物質)はスギ、とダニであることはご存じと思います。

現在はスギとダニの舌下免疫療法を行うことができます。当院では、スギ舌下免疫療法の開始時期はスギ花粉の飛散していない6月から12月前半までとしています。ダニの開始時期に制限はありません。

スギ、ダニともに免疫療法の適応がある場合はどちらの免疫療法を行うのか、また両方行った方がよいのかなどが問題になります。

両方行いたい場合はどちらを先に開始するかも問題になります。症状が強く苦痛度が高い方が優先と考えています。また効果への期待以外に安全性も気になるかと思います。スギ、ダニどちらを先行しても有害事象や薬剤副反応の出現率は増加しないとの報告があります。

6月に入り、スギ舌下免疫療法が開始できる時期に入っています。今までの治療で十分な満足が得られなかった場合はご相談ください。

飛騨天文台

2021年5月30日

飛騨天文台を御存知でしょうか?

年に一度、夏の数日間のみ一般公開しています。

入場制限があり抽選で決定します。

最初の年は抽選で外れましたが、私達家族は過去に2回行っています。

自家用車では行けません。一般公開時のみしか運航しないバスに乗ります。途中から曲がりくねった道になり、最後はアスファルトから砂利になります。車酔いをする人もいるかと思います。

天文台では、研究者や京都大学の学生さん達のイベントがあり丁寧に説明をしてくれます。

メインは天体望遠鏡から見る土星です。当然ですが天気が悪いと見ることはできません。

キレイな流れ星をみることもできました。

新型コロナウイルスの影響で天文台の一般公開は中止になっています。

再開されたときには応募してみてはいかがでしょうか。

 

 

小児アレルギー患者の早期介入について

2021年5月9日

小児アレルギー性鼻炎の発症、重症化を阻止するために早期の介入が重要であると言われています。期待されている介入手段として、アレルゲン(アレルギー反応を来す原因物質)の回避、アレルゲン免疫療法、出生後の皮膚の保湿などが挙げられています。ただ、有効性、安全性についてはさらに科学的な評価を進めていく必要があります。

アレルギー性鼻炎治療において、アレルギーの説明、アレルギーの検査、アレルゲン回避の重要性を患者に行った場合は、十分に行わなかった場合と比較して有意に治療効果が高かったとの報告があります。自分の体を十分に理解し、治療を行うことは、アレルゲン回避への意識が高くなっていることが想定されます。

近年皮膚を介したアレルゲンの経皮感作が、食物アレルギーや喘息発症に大きな役割を果たすことが知られています。そのため乳児期から適切な体の洗い方や皮膚の保湿などのスキンケアが大切になります。アレルギー性鼻炎に関しても皮膚のバリア機能を保つ保湿を介した予防が期待されています。小児アレルギー性鼻炎の発症に対しても抑制効果が報告されています。ただし、小児アレルギー性鼻炎では、アトピー性皮膚炎の既往や合併がない発症が50%以上に見られていることから、実際の効果に関しては更なる検討が必要であると言われています。